■聖闘士星矢ダウン系30のお題■
Once upon a time,
お前が共にいた、あの頃のこと。
1.再会
再会したら一番に伝えたいことがあった
もしこの年月の後に、お前にもう一度会えたら
「…愛しているよ」
お前と離れてからずっと、伝えたかった
2.傷
傷を舐める上げる舌の感触が、妙にリアルだった
初めてお前に抱かれた日
夜が、更けるまで
彼を伐った、あのときから消えない
傷が疼いていた
3.5分
お前が死んでしまえば良いと思った
お前が、いなくなれば良いと
ああ
あんなことになる前にもう5分だけ
お前と抱き合えれば良かった
4.サクリファイス
犠牲だの生け贄だのと、思わないで欲しい
あなただけは
あなたに抱かれている今、私は仕合せなのだから
5.指輪
夢のなかで、死んだあいつの指から掠め取った指輪は
気味が悪いくらい、俺の指にぴたりとはまった
相変わらず、同じ指をしているんだ
あいつはもう、死んだのに
6.きょうだい
隠されて、隠れて生きなければならない私たち兄弟
隠さなければいけなかった関係
ああ、
叶うならば。
お前をもう一度、この腕に。
最期にもう一度。
7.決して口にしないこと
死ぬときはどうせお互い独りだからと言った
「一人になりたくない」
今、躯が絡み合っているその間だけ
お前にも伝われば良いと、思う
8.神様
神のようなと云われた
彼は
影を失って
あなたをも失ったという
神よ
わたしはそれでも
彼を…
神よりも彼を愛す
9.はなればなれ
はなればなれになっても、お互い想い合っているなんて
そんな言葉には、反吐が出る
あいつと、初めて肌を合わせてから十年
お前が俺のことを考えるのは、こうして抱き合っている
今だけでいい
「なあ、もし、俺が死んだら…」
だから今は、俺の名を呼んで
今だけは、俺のこと以外、考えるな
10.廃墟
廃墟に、立ち枯れた娑羅双樹
お前が救ってくれた
俺たちの大切な少女の命を喜ぶ
その前に…
少しだけ、悲しませて欲しい
お前に会いたい
叶わない
この気持ちは、この廃墟だけにとどめるから
An undergoing myth,
女神がいつも共に。
11.サヴァイヴァー
生き延びてみせようと思った
醜いと人に嘲られ、弱さを揶揄られても
自分を生かそうとする、何か強い力に護られている
そんな気がいつもしていたから
12.勝利の女神
愛する者を失い、幾筋もの血が流されて
勝利の女神は涙を流した
13.真夜中に目が醒めた
寝汗をかいていた
汗を流そうと、顔を洗いにいく
「なんて顔してやがる」
鏡のなかの自分は、思わず恫喝したくなるほど、憔悴していた
…あいつも、今頃眠れない夜を過ごしているのか
手を伸ばして触れる、鏡のなかの手は、冷たかった
…あいつは今、どうしているだろう
14.掟
わざと、掟破りなことばかりしてと、忌々しく思っていた
粋がって子供じみた虚勢を張っているのだと、心のどこかで嘲笑していた
…そんな、奴と一緒にいるようになって
掟よりも大切な何かがあいつのなかにはあるからだと気づいた
俺は
それが何故だか無性に欲しかった
15.月光
思ってもみないことだったけれど、決して嫌ではなかった
白いすんなりした指で
やさしい手つきで
愛されていると思った
抱きしめられて
頬をくすぐった、柔らかい髪の感触
彼の、髪の感触
寝台に仰向けで、見上げる彼の纏う光
ふと気づくと。
窓からは彼の髪と同じ褪めた金色の、月の光が差し込んでいた
16.女神のお願い
お互い愛し合って、幸せにおなりなさい。
せめて、夢のなかだけでも。
17.G
Goddess,
...am I too lost to be saved?
(女神よ、
わたしは救われようとするには、あまりに道を外れているでしょうか。)
18.神話の記憶
逆賊だの、否、英雄だの…
そんな絵空事みたいなイデオロギーはうんざりだった
俺が欲しいのは
神話の記憶なんかじゃない
俺にとっては
大きな手で、泣きじゃくる俺の頭を撫でてくれた
あなたの腕のぬくもりだけが本当の
記憶なのに
19.劇薬
一口飲めば全身に痺れが回る毒薬のように
頭が痺れて、何もかも忘れられれば良いのに
どうしても頭から消すことが出来ないならせめて
この一瞬だけでも
触れるだけで体中を駆け巡る、官能
…一瞬で良い、何もかも忘れさせて欲しい
20.わたしの声が聞こえますか
あいつがいない
この海の底では
女神
あなたの声が聞こえません
And after all,
戦い終えて、遺されたもの。
21.幾年前の約束
他愛のない嘘が、誰かを傷つける
それが、
ひどく怖いことに思えた
いつのことだったか、思い出せない
ただ、確かなのはそのとき、お前がそばにいたこと
22.真紅
知っているだろう?
俺たちに許される赤は、目の冴えるような真紅なんかじゃない
鮮やかに肌を切り裂いて出会う、この深紅なんだよ
23.Yours Ever
欲しがりません。何も
ただ、そばにいさせて
あなたのものにしてください
24.流星群
流星群が宇宙に溶けていく、その光景にも祈る言葉を忘れた
お前がいない
新しいものは願わない
どうか
お前が還りますように
25.One thousand wars
星の下に
生まれおちた瞬間から決まっているんだ
あなたに捧げる
戦う、千年を、あなたに捧げる
26.柩
こんな不安な日
自分はいつも独りではなかったと
今気づいた
自分が多くの人に守られていたことに
今気づいた
ねえ
笑ってよ
いつもそばにいた、君が眠る…
…気が、おかしくなる
27.知らないままじゃなくてよかった
あの日の裏切りと怒りが、綺麗に消えるわけじゃなくても
知らないままじゃなくてよかった
お前がこうして、もう一度微笑んでいる
この瞬間を
知らないままじゃなくてよかった
女神
あなたが、俺のことをまだ、愛していてくれたことを
28.AXIA(大切なもの)
自分のすべてが、ここを中心に回っているんだよ
自分の、宇宙のすべてが
いつの間にか大切なものをなくして
壊れた独楽は、ふらふらと回り続けた
…お前に会いたい
29.最後の日
どんなときでも確かだと思えた唯一のものは
この気持ちだけだったから
最後の日、最期の瞬間にも
あなたのことを好きでいられる
そう思った
30.この暗黒の世界に一条の光明を
何度も、挫けそうになった
それでも
下を向いてばかりいた俺が目を閉じると
金色の翼が
あなたの、後ろ姿が見えて
「この暗黒の世界に一条の光明を」
与えてくれたのはいつも
あなたでした
お題はHybridStarさまよりお借りしました。
2007/11/18 Rei @ Identikal