Sous l'amitie


我が友に








  忘れ得ぬ日々



思い起こせば、私たちはいつも

三人だった


仕えるべき神を

自ら見失って


この世にたった三人で

罪を分け合って


それでも

この世界に

縋り付いていた


仮令、人に謗られようと

それだけが私たちにとっての

正義だったから








  外界に繋がる扉



「出てゆくというのなら止めはしない」

どうせ

止めたって聞きやしないのだろう?


器用で冒険心に富む彼にとって

外界に繋がる扉は

何処にだって在った


ただ、彼はそれに

背を向けていただけなのだ








  逃亡犯の幇助



「俺が居なくなった後

あいつのことを頼む」

どうか

不似合いな神妙さで頭をたれた男に

無言で頷いた


行き先は訊かない


彼が遺してゆく幼馴染みのことを想うと

訊けなかった



「済まん」



何処へ行くのか

はっきりと決めている訳でもないだろう逃亡犯は

もう一度詫びて、背中を向けた








  黙して語らず



「…デスマスクを知らないか?」


案の定、彼を捜して自分の元を訪ねた幼馴染みは

相変わらずもの静かで

無表情だが

黒耀の瞳の下には影が

いつもより暗く落ちていた








  憎し、我が友よ



「幸運を祈る」


餞の言葉など欲しくないだろう君の背中に

小さく呟いた


君は大莫迦者だと

大声で叫べたら

どんなに楽だっただろう


君は私たちを

彼を、置いてゆくのだ










2010/06/10, Rei @ Identikal








蟹山羊蟹前提で、蟹+魚(→山羊)。

デスマスク、お誕生日おめでとうございます。アフロディーテからの友情はまさに、「黙して語らず」だと思います。



「我が友に」お題元:"as far as I know"さまよりお借りしました。



親友に捧げるお題。

わ...個人的なイメージは学生時代。友達と一緒だった日々。/ が...友達ってそういう存在でした。/ と...悪戯の片棒を担がされたり。/ も...沈黙の意味は。/ に...まったく、どうしてお前という奴は。/