Apres avoir perdu


恋をしていた




夢中で追いかけていた背中に

右手を振り下ろした


あの日から

消えない傷痕と時折

疼く想い



陰気なやつだと笑う

あいつの隣で


恋をしていた








こ ここはきっと別れの荒野



あの人の影から逃げ出したくて

背を向けて駆け出した


此処からは


どんなに手を伸ばしても



お前に届かない




なあ、きっと

あの人は笑うだろう


初めから

分かっていたことじゃないかと云って

笑うだろう




そう、此処はきっと


別れの荒野








い ifの群れが包囲する



もしもあのとき

もしも俺が

もしもあいつが


もしも


もしもあの人が




がらんどうなの心の真ん中を

ifの群れが包囲する



誰かに傍に居て欲しくて


でも



今一番

一緒に居て欲しいのが誰なのか



俺には未だ


分からないのです








を 可笑しくて吐きそう



「なあ、俺とあの人が、崖にぶら下がっていたらどうする?」



こんなときに憶い出すのが

あいつの

寝物語だなんて




可笑しくて吐きそうだ








し 詩という詩を踏みつけて



なあ、きっと


あんたなら


笑っていられるんだろう?



詩という詩を踏みつけて



こんなときにだって


笑っていられるんだろう?








て 天啓なんかいらなかった



 「選ばれし黄金聖闘士」


「お前の強さは神に授かった力、正義の証」



その力によってやがて、あなたを失うのなら



…天啓なんていらなかった…








い 生かさない愛とずっと



死んだあの人と

あの人を忘れないあいつと

俺と

誰一人生かさないしがらみと


ずっと


こじれた想いにしがみついて来た




そうだ

あんたがそう云うならきっと




それが


「愛」ってやつだったんだろう?








た ただし全ては偶然である



なあ、神サン

これで良いぜ、これで手を打とう


こんな結末だって

甘んじて受け入れるさ

仕方ないだろう?


ただし

「全ては偶然である」

と云って



これは


俺たちが今こうしているのは


俺の所為じゃなかったと


あいつの所為じゃなかったと


あの人の所為じゃなかったと



お願いだ


そう云ってくれ










雨が降る度に

右腕をかばうように抱え窓辺で

冥い空を眺めていた



…その黒い眼には、何が映っている?…



後ろ姿に焦れて

雨上がりを待つような


恋をしていた










2008/10/22, Rei @ Identikal






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お題の"as far as I know"さまより、お題「恋をしていた」をお借りしました。

射手誕なのに何故か蟹山羊蟹で済みません。(どうにも射手山羊が好きで…。)



悪いね、私は嘘吐きだから詩人には向かない。

こ...風は通るくせに、靡く事を許さない。/ い...扉が道を塞いで、鏡が私を竦ませる。/ を...無意味で矛盾、とんちんかんで馬鹿みたい!/ し...血と肉と、それ以外は考えたくない。/ て...ある日降り注いだそれはまるで罰のようだった。/ い...水も餌もやらないのに、お前どうして死なないの。/ た...詩人じゃないから暗喩でもない。/