Dans la Fumeux Fumee


紫煙のなかで


初めて肌を合わせたあの冬の日から

気がつけば数年

こうやって、一緒にいるようになって

吸い始めた煙草が、いつの間にか指に馴染んでいた


触れるだけで赤く痕を残す脆弱な肌の

冷たい感触

見かけよりもずっと柔らかい、銀の髪

氷を思わせる、怜悧な銀灰の瞳


夏生まれのはずのあいつからはいつも

煙草と

冬の匂いがした






命を削るに似た行為

デスマスク×シュラ×デスマスク




それは愚かな惰性

デスマスク×シュラ×デスマスク




分かっているのに止められない

シュラ×アイオリア




口淋しいなんて、馬鹿な

シュラ×アイオリア、デスマスク×シュラ×デスマスク




身体に染み付いた匂い

デスマスク×シュラ×デスマスク






何年そばにいても見えない

お前と

一言も交わさずにそばにいる


思えば

睨み合うのも抱き合うのも

いつも紫煙のなかで


確かなのは

変わらない黒い瞳と

こうして合わせた肌の温もりだけ


そしてまた

新しい冬が来る




2008/1/12, Rei @ Identikal


ヘビースモーカー五題

リライトさまよりお借りしました。

仏語titleは14世紀仏蘭西の音楽家Solageの曲、"Fumeux fume par la fumee"から取りました。

"Dans la fumeux fumee"=「曖昧な煙のなかで」というような意味です。